日々に役立つ酵素の話

工業用品に利用される酵素

酵素利用技術

現代では製品に含まれなくても、食品工業から香料、医薬品原料などのファインケミカルの分野にいたるまで様々な食料原料や化学製品の製造に酵素が利用されています。例えば生物から抽出された酵素を工業化学の分野で利用するために、酵素の固定化が使われるようになりました。

固定化とは工業用酵素を土台となる物質(担体)に固定して用いる方法で、無駄を出さずに生産するためには酵素の不可逆性(あらゆる条件下で元の状態に戻らないこと)が不可欠とされています。

このとき同時に酵素まで除去してしまうと、本来は再生、再利用が可能な触媒である酵素も使い捨てになってしまうのでそれを防止する固定化は重要であると言えます。バイオリアクター装置はこの固定化に欠かせない装置です。

バイオリアクターとはポンプをつかって基質(酵素が科学反応を起こす際の原料となる物質)を注入すると同時に生成物を作り出す装置のことで、酵素を柱状の反応装置内に固定することで、酵素の固定化を行い、酵素のリサイクルや連続生産を可能にしています。バイオリアクターに用いられる酵素は紅藻類から抽出されるk-カラギーナン(食品・化粧品のゲル化剤にも利用される)が広く用いられています。

世界で始めて固定化酵素を使った工業化に成功したのは千畑一郎、土佐哲也氏らで1967年にDEAE-Sepadex担体に固定化したアミノアシラーゼ (E.C. 3.5.1.14) を用いて、ラセミ体である N-アシル-DL-アミノ酸の混合物からターゲットの L-アミノ酸だけを不斉加水分解し、光学活性なアミノ酸を取得する方法を確立しました。