日々に役立つ酵素の話

医薬品に含まれる酵素

心不全

一時的に心臓が停止してしまい、全身に十分な酸素と栄養素を供給できなくなってしまう状態を心不全と言います。この心不全の状態が長く続くと最悪の場合死に至りますが、死に至るまではいかなくとも酸素と栄養素の不足は身体に様々な悪影響を及ぼします。

この心不全を何度も繰り返してしまう状態を慢性心不全と言います。慢性心不全の主な原因は加齢や生活習慣です。症状としては、全身に血液を送る右心に異常が起こりうっ血してしまう右心不全と、肺でガス交換をした空気を心臓に取り込むための肺動脈につながっている左心不全とがありますが、通常は両方が同時に起こります。

両心不全合併症としては心房細動や心室性期外収縮などの不整脈を起こし発症から5年で約50%が死亡してしまうと言う非常に致死率の高い病気です。慢性心不全治療においてβ遮断薬は標準的な治療薬とされています。しかし副作用が強く、RAS系阻害薬に比べて使い勝手も悪く、導入には注意が必要とされています。

これは臓器選択性や新機能抑制効果による部分が多いためです。そこで臓器選択性が高く(疾病のある特定の臓器以外に影響する可能性が低い)、心機能抑制を持たないβ遮断薬があればより導入が容易になります。その一つの可能性として心臓型アデニル酸シクラーゼと言う酵素の阻害薬が注目されています。

この薬は心臓以外の臓器に発現する可能性が低く、またこの酵素の活性阻害は心機能低下を起こさずに心筋保護作用を示すことがわかっています。さらに長年にわたって使用されてきた抗ウィルス薬の一部に心臓型酵素の阻害作用があることも分かっていて、最近では細胞内酵素サブタイプが心不全治療においても注目されています。