日々に役立つ酵素の話

医薬品に含まれる酵素

抗ウイルス剤

ウィルスによってもたらされる疾病は現在人類が抱える大きな問題の一つであり、特にインフルエンザやHIV感染症は重大な社会問題となっています。日本でもHIV感染症の患者数は年々増加傾向を見せており、HIVやエイズの治療法や予防法の確立が急務とされています。

炭素環ヌクレオシド、abacavirは最も新しい抗エイズ薬として注目されていて、逆転写酵素(RNAからDNAへ遺伝情報を転写する酵素)を阻害することでHIVウィルスの増殖を抑えます。現在数種類の核酸系抗エイズ薬が臨床薬として使用されています。

しかしこれらの薬剤を長期投与することにより耐性HIVウィルスが出現し、効力が失われるという研究結果があります。abacavirは耐性HIVウィルスにも有効な抗エイズ薬として臨床的に使用されています。しかし、abacavirにも耐性を持つHIVウィルスの出現は当然のことながら考えられることから継続的な新規のエイズ治療薬の開発が求められています。

このように医学は常にウィルスと戦ってきました。エイズに限らずコレラ、赤痢、インフルエンザ、結核、天然痘など様々なウィルスによる危機的状況を乗り切ってきたのです。しかし、ウィルスは有効薬に対して耐性を持つウィルスへと変貌を遂げて人類を苦しめます。

医療の歴史とはウィルスとの戦いのいたちごっこなのかもしれません。しかしながら一般的に酵素を用いた抗ウィルス薬は高い効果を持つと同時に副作用も穏やかなものがあるため、この分野での更なる新薬の開発が注目されています。